離婚をお考えの方へ・・・
それはあなたの本心ですか?
一般的に、離婚の危機に接しているようなときは、心の状態が普通ではなくなってることが多いように思います。
ご相談者からは、離婚したいが慰謝料はいくらもらえるの? 夫(妻)の愛人から慰謝料を取りたいが? 子どもの親権はとれるだろうか? 養育費はちゃんと払ってもらえるのだろうか? 離婚後も別れた子どもと会わせてもらえるのだろうか? どのような手順で離婚したらいいんだろうか? ・・・などなど様々なご相談を受けます。

もちろん、財産分与、年金分割、慰謝料、養育費、親権、面接交渉などのこと、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚などのこと、協議離婚の場合でも離婚協議書を作っておきたいこと、離婚前の別居の際の扶養料のこと、調停は離婚に向けてばかりではなく夫婦関係を回復するためにも利用できることなどを、ひと通りご説明しますし、ご希望があれば、離婚協議書やその他必要書類の作成等、事情によっては慰謝料請求のお手伝い(内容証明郵便作成等)などもさせていただいております。
 〔※事案によっては、弁護士等他の専門家をご紹介しております。〕

しかし、そればかりではなく、ご相談者が本心から離婚を決心しておられるのかを、お話をうかがいながら、ご自身に自問自答していただくこともよくあります。

「自分自身の本心」をしっかり確認してもらい、後悔のない決断をしていただきたいと思うのです。

ご相談者が何からどう話せばいいのか混乱されていることがよくありますが、そういうときにはちょっと立ち止まってもらい、お話をお聴きしながらひとつひとつ整理して差し上げるように心がけております。
どうして離婚したいと考えたのか、ご自身のお気持ちをよく見つめ直していただくのです。
 ・仕事仕事で家庭をかえりみてくれないから?
 ・生活費を入れてくれないから?
 ・暴力を振るうから?
 ・夫(妻)の両親やきょうだいと折り合いが悪いから?
 ・夫(妻)に愛人ができたから?
 ・あなたに愛人ができたから?
 ・夫(妻)のことが本当に嫌いになったのですか? 憎いですか?
 ・本当は、夫(妻)の愛情を取り戻したいのではないですか?
 ・本音を打ち明けて、それでも拒否されたときの絶望感を恐れていて、
  正直な気持ちを伝えられないでいませんか?
 ・どうしてすれ違うようになったのでしょうね?
 ・気になる部分が改善されれば結婚生活を続けられますか?
 ・改善の方法は考えたことがありますか? 伝えたことがありますか?
  実行したことがありますか?
          etc・・・・・

また、相手側が離婚を望んでいるような場合、夫(妻)から調停を申し立てられたり、夫(妻)の通知代理人行政書士や代理人弁護士などから文書が届いたりすると、何だか相手の言うことを受け入れられない自分がまちがっているような気がしたり、早く解決しないと迷惑をかけそうなどと、余計な心配に、追い立てられるような気持ちになって、自分の本心を見失ってしまいがちの方は少なくないようです。

夫(妻)の気持ちを取り戻すために、または新たな出発のために、一生にかかわる大事な局面で冷静に判断するため、正しい選択をするため、後々後悔しないために、ちょっと深呼吸して、一度どなたかにご相談なさってみませんか?
ただ、親きょうだい・親戚を巻き込むと、どうしても感情が入ってしまい、夫婦間が余計にこじれてしまうことも多いようです。
このようなとき、私でよろしければ、ご相談にのります。
心の部分を重視してお話をお聴きしますが、それぞれのポイントにおいては行政書士としてのお手伝いも差し上げられるかと思います。

離婚で生活はどう変わるでしょう?
するしないにかかわらず、離婚後のイメージをできるだけ具体的に思い浮かべてもらうこともよくあります。現実を見てもらうのです。
大きなポイントは、★収入、★住まい、★子ども、この3つです。
一般的に、相手側に離婚の原因がある場合でも、ワイドショーで騒がれている芸能人のように、離婚といえば慰謝料とはいかないのが現実です。
養育費も、たとえ約束していても、相手の再婚や失職など、生活や経済状況の変化により、滞ったり支払えなくなったりすることも考えられます。
2004年4月施行の法改正で、養育費が給料から将来に渡って差し押さえできるようになり、いざという時には従来よりは心強いですが、長い年月の間には、相手の勤務先がわからなくなったり、住所が変わってしまうことも珍しくありません。
そう考えると、慰謝料も養育費も全面的にあてにするのは危険です。
あなた自身の収入で生活できますか?

今の住まいの名義はどなたになっていますか?
夫(妻)の場合、財産分与や慰謝料などとして譲り受け住み続けることができますか?
住宅ローンの支払義務者が夫(妻)の場合、返済が滞った場合の対策がありますか?
もし、新たに住まいを借りる場合、敷金や引越などの費用の準備はありますか?月々の家賃は払っていけそうですか?
収入に見合った住まいを借りると、今と比べてかなりオンボロな家に住むことになるかもしれませんし不便な場所になるかもしれません。

離婚にともない、転居や転校、生活パターンなど大きな環境の変化は、子どもにも当然降りかかってきます。
子どもさんが小さい場合、あなたが仕事で留守中はどうしますか?
子どもさんが病気のときの対策はありますか?
ひとつひとつ具体的にイメージしてください。
あなたの大事な子どもさんをしっかりフォローしてあげることができますか?
また、あなた自身、耐えられますか?

さあ、離婚により生活はどう変わるでしょう?
それでもあなたは、今、離婚を選びますか?
しっかり現実を見据えた上で判断していただきたいと思います。


明るい一歩を踏み出すために・・・
離婚を決心したつもりで私のところに相談に来られても、お話をしているうちにご自身の本心に気づいて離婚の危機を乗り越えてしあわせを取り戻したご夫婦も数々あります。
また、今は離婚のときではないと判断されて、子どもさんの保育園を探して仕事を始め、時間をかけてゆっくり転居先を探し、貯金をして、数年後、子どもさんが少し成長したときに仕事量を増やしたうえで離婚に踏み切ったという方もおられます。

さて、あなたがもし、充分に自問自答し、冷静に考えて出した結論が「離婚」という選択肢だったら、あとは前向きに考えましょう。転んだら、地べたの石ころを2〜3個拾って立ち上がるぐらいのつもりで。今はただの石ころでも、磨きようによってキラキラ輝く宝石の原石です。
つらい離婚も立派な経験です。失うものもあるけれど、この経験によって得るものもきっとあると信じましょう。それが人生に活かされないはずはありません。

離婚は精神的にも物理的にも大変です。傷つけあって心を痛めながらも、新しい生活への準備をしなくてはならないからです。
引越する場合は、新居探しや引越の日程決めに始まって、電気・ガス・水道の手続き、転居案内の通知やご近所へのあいさつなど、役所への住所変更や学校へ転校の届出、子どもの姓が変わる場合には家庭裁判所へ子の氏の変更の手続きも必要です。
それぞれ日程を調整しながら段取りを組む作業は楽ではありません。仕事をもっている方はなおさらです。
それらをクリアしていくことで、やったことが必ずひとつずつ「力」に変わっている、拾った石ころがちょっと輝き始めている、というようにイメージしながら、コツコツと片づけて欲しいと思います。

そうして新しい生活をスタートしたからには、現状をきちんと受け止めて、胸を張って堂々とあなたの人生を創っていってください。

公的な経済的援助には母子家庭に対しては児童扶養手当がありますが、自治体によっては父子も含むひとり親家庭への援助や、就学や医療などの援助をするところもありますので、調べてみられるとよいと思います。
また、市区町村の広報紙や新聞などに目を凝らしていれば、お金をかけずに楽しめる行事もけっこう見つかるので、子どもさんとのコミュニケーションに利用されるとよいでしょう。
もし、病気などにより経済的に苦しくなった場合は、別れた夫(妻)の状況にもよりますが、養育費の増額請求をすることもできます。(養育費を支払っている側は、事情によっては養育費の減額請求をすることもできます。)
約束した養育費が滞ったときも、早めに対応して下さい。
調停離婚、審判離婚、裁判離婚(判決・和解)などの場合は、まずは裁判所の履行勧告を利用されるのもいいかもしれません。強制力はありませんが、裁判所が連絡してくれるので効果的です。(どうしてもだめなときは強制執行です。)
公正証書で離婚協議書を作っている場合も、それに基づいて強制執行できますが、まずは内容証明郵便等で請求してみるのも効果的かと思います。
もし、どうしても増収の見込がつかず生活が苦しい場合には、最寄りの福祉事務所に早めに相談されることをおすすめします。

父親も母親も子どもにとってはかけがえのない親に違いありません。

片方の親を否定するということは、子どもの存在をも半分否定していることになりはしないか・・・と気がかりです。
どんなに修羅場を演じてケンカ別れした夫(妻)であっても、大切な子どもさんの親だということだけは忘れないでください。
子どもはできるだけ多くの人に愛してもらう方がしあわせだと思います。
様々な事情はあるでしょうが、父と子・母と子はもちろん、できる限り、おじいちゃん、おばあちゃん、いとこ同士、、、、、そんな交流を持たせてあげていただきたい・・・と願います。

離婚にともなう約束を書類にすること=けじめ。
それは結婚の終わりの作業であると同時に、お互いの将来へ向けての第一歩目の作業なのかもしれません。


やむを得ず離婚をすることになった方は、裁判所を通さない離婚の場合も離婚協議書を作っておくことが重要です(公正証書にすることを強くお勧めします)。
しっかり決めてきちんと守る。それが後々もめないためにとても大切です。

離婚には膨大なエネルギーを要します。
そのエネルギーを「前向きな力」に変えて、明るい一歩を踏み出していただきたいと願っています。

   
Photo by RELISH

    

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